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碧と朝陽

第17章 焦りと欲求

碧side

まずい。かなりまずい。
思い切り手を出してしまった。

朝陽に求められるまで、もしくは正式なパートナーになるまで最後までしないと決めていたのに。

自分の意思の弱さに嫌気がさす。

「はぁ、、、」

朝陽の身体を綺麗にしたあと俺はシャワーを浴びながら項垂れていた。

ただ、あんな朝陽今まで見たことがなかった。
あんなふうに誘われたこともなかった。

DomはSubの奴隷だとつくづく思う。
Subの甘い声で甘えられるだけで堪らなくなる弱い生き物だ。
特に意中のSubからの言葉なんて耐えられるわけがない。

「キス、していい?」
「今晩はずっと一緒にいて」
「好きにして」

言われた言葉が頭からぐるぐると離れない。
郁人とのプレイでなにか朝陽が変わったのか、、きっかけが郁人なのは気に食わないが、あの後で様子がおかしかったのは事実だ。

シャワーをとめると、体を拭き、朝陽の寝ているベッドへ様子を見に行く。

安心し切った寝顔。
最初はプレイが終わるとシャワーを浴びてさっさと帰ってしまっていた。
その頃と比べるとだいぶ心を許してくれている。そう感じる。

自分自身も朝陽への感情が日に日に大きくなっているのを感じていた。

「ねぇ、早く俺をパートナーにしてよ」

朝陽の頬を撫でながら小さくつぶやく。
俺たちは「仮」のパートナー。
朝陽に本当の意味で認められたわけじゃない。

でも後もう少し、ほんの少しな気がするんだ。

と、急に頬を撫でた手を朝陽に掴まれる。

「っ!?」

起きてたのか!?

「あお……?くすぐったい……」

寝ぼけているような朝陽の様子に聞かれたわけじゃないと安堵する。

「あぁ、ごめん、朝陽が可愛くてつい」

「んー、揶揄うな……早く隣に来い」

朝陽はそのまま俺の手をぐいっと引っ張る。

「うわ、」

油断していた俺は朝陽のベッドに倒れ込む。
朝陽の顔が近い。

「早く寝ろ」

目を瞑ったままの朝陽が言う。
さっきまで甘えた声で鳴いていたのにすっかりいつもの朝陽だ。

俺は観念して朝陽の隣で寝ることにする。
体を横にすると自分が案外体力を消耗していたことに気付いた。
すぐにうとうとと睡魔が襲ってくる。

俺は睡魔に抗わずそのまま眠りについた。

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