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クローン人間は同じ夢を見るのか 〜オルタナティブ・キイ〜

第3章 グリメット城


「私はタイラ・シーサル、タイラって呼んで
 此処では艦のエンジニアをしているの
 あなたはパイロットなんでしょう?
 どうして此処に来たの?」


タイラは若い女の子でとても顔が小さかった
基地でのアフリカ系クルーは皆ゴツい男たちばかりだったのでこんな細身のかわいい女の子がエンジニアだなんて信じられなかった


「パイロットといってもモビルスーツ専門だよ
 ここのフリューゲルみたいに飛ぶ機体は乗ったことが無いよ
 スティーブの娘を取り戻すのを手伝う事になったんだ」


タイラはカフェテリアから持ってきた飲み物を自分のマグカップに半分ほど移してから残りをラーズに手渡した


「そうなんだ? じゃあネセバルの出撃で巻き込まれてしまったのね
 運が悪かったわ、艦がソフィアの町に行ってたから彼女たちのシュメッターリングが届けられなかったから
 いくら彼女たちでも機体が無ければただの子供ね」


ラーズはコーヒーをひとくちのんだ


「だから俺のジムⅢを持っていきやがったんだよ、おかげで俺は奥さま御一行のバスの運転手さ
 ところでタイラはこの艦には長いのか?
 どうやってこの艦に?」


「私はジンバブエ出身なの!地元では歌っていたの!これでもなかなか知れたグループだったのよ?でもそれだけでは生きていけないでしょう?普段は自然公園のガイド兼パトロールの部隊に居たの
 たまたま買い付けに来ていたスティーブさんと出会ってね、そのまま転がり込んじゃった!
 あのまま国に居ても稼げなかったしね?」


アフリカ大陸の中でも南エリアはもともと英語圏なので通訳も兼ねて地元の商談クルーとして雇われていたのだろう

「この艦の居心地はどうだい?
 イギリス人ばかりって事は無さそうだけど」


「確かにスティーブさんはイギリス人だけど奥さまのアリッサさんはアメリカ人だし、たしか貴方のルームメイトになったマーティーもアメリカだったわね、かなり多国籍な艦なのよね
 そもそも国の軍隊じゃないから寄せ集めなのよね、傭兵ってほどドライでもないから今となってはみんな家族みたいなものよ」


「娘たちも多国籍だもんな」


「そう、みんな可哀想な娘たちなのよ」


タイラは遠い目をしたがラーズは彼女の言葉は娘たちだけでなく、貧しい国から出てきた自分にも向けられていたような気がした


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