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クローン人間は同じ夢を見るのか 〜オルタナティブ・キイ〜

第4章 増援部隊ゾーナタ


ようやく動きを止めたモビルスーツのコックピットの中で、ジョンはかろうじて逃亡を阻止できたことに安堵していた


全天周囲モニターにはモビルスーツの周りに整備士たちが集まって来る様子が映し出されている

移動式の階段状のタラップが近付きコックピットハッチの外から声を掛けられる


「全員、動くなッ! 手を上げていろ!」


「オーケーオーケー、この通りだ、大丈夫ですよ」


ジョンは言われるまま両手を上げて事態が収束していることをジェスチャーした


「ジョン! 大丈夫かッ!? 何があった」


整備士は手にした銃を腰に戻しコックピット内を覗き込むとシートに座るジョンと近くに身を投げだして倒れている子供の姿を見た


「子供をそちらに渡すからゆっくり引っ張り上げて下さい」


ジョンは少女の肩を引き上げて顔を近付ける


「んん……」


少女は軽く呻いたが意識は戻っていなかった


自分の肩に一旦乗せてから態勢を立て直して足を踏ん張る

そのときあまりにも軽い子供の身体にジョンは“本当に小さな子どもなんだな”と改めて実感する


近付けた少女の顔はとても小さく、肩から伸びる腕もとても華奢で持ち上げただけでも折れそうだ

ワンピース姿の少女はまるでさっきまでリゾート地に観光に来ていたかのようなおめかしした服装


“こんな小さな子供がモビルスーツを??”


彼女を受け取った整備士も驚いた表情を隠せない


「気をつけてよ!?意識が戻るとまた逃亡するかもしれないですよ!?」


「わ、わかりました!ジョンも下に降りるかい!?」


「いや、このモビルスーツをどかさないと次に出撃できない!コイツを動かしますからタラップを移動させて下さい!」


ジョンは移動式のタラップが正面から離れるのを確認すると改めてシートに座り直しモビルスーツをゆっくり立ち上がらせた


オープン回線でコックピットに通信が入る
チーフ整備長のニルスだ

「ジョン、動かせるか!一番奥のハンガーまで行ってくれッ!」


「はい、ニルスさん!モビルスーツの操縦は入隊時の訓練以来ですが動かすぐらいならオートでいけます」


多くの整備士やパイロットたちに見守られながら格納庫でのトラブルは収束していくのだった…


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