テキストサイズ

クローン人間は同じ夢を見るのか 〜オルタナティブ・キイ〜

第4章 増援部隊ゾーナタ


格納庫でトラブルがあったちょうどその頃、


ブリッジでは作戦司令のヨハネスがオープン回線で通信のやりとりをしていた


それも地球連邦軍に敵対する陣営〈トランキュリティ〉軍勢の一翼〈グリメット部隊〉からである


ブリッジにはヨハネスと共に駆けつけたゾーナタ艦長のマイケルも立ち会っていた


5分ほどの会話をしていたヨハネスはヘッドフォンを外してマイケルのほうを向いた


「なんと言ってきたのです?」


「グリメットの艦にラーズ・ローズ本人が乗っていた」


「ええ? 連邦軍のパイロットが??なぜ?
 捕らえられたという事ですか!?」


「いや、そういう訳では無いそうだ、
 ラーズ本人とも話したんだけど、グリメットの家族を出撃中のラーズが救助したそうだ、
 救助時に機体を離れたタイミングでグリメットの娘と入れ替わってしまった、と……」


「……本当に? そんな事ありますかね?
 ではあの子供はグリメットの娘というわけですか?」


「グリメットも人の親なんだな!
 正規パイロットのラーズ・ローズを戻すので、こちらに囚われた家族を取り戻したいそうだ」


ヨハネスとマイケル艦長が話しをしていると通信士が割り込んできた


「ヨハネス司令、その囚われの姫がとんでもない事しでかしましたよ、逃亡を図り格納庫がパニックになっている報告がきました
 どうします?」


ふたりは通信士のほうに近づき、溜め息をついた


「グリメット家のご令嬢なら人質にするわけにもいかないし、もてなすわけにもいかなさそうだな…、胃が痛くなりそうだよ」


「とりあえず司令の弟さんが止めたようです、隔離させますか?」


「そうだな、子守役に面倒をみさせよう、塔の上に幽閉するわけにもいかないしな
 何名かサポートを付けさせて、グリメットの使者が来るまで監視させておいてくれ!
 さっさとお帰り戴こう!」


正面のディスプレイには膝をついて緊急停止したモビルスーツの姿が映っていて、子供ひとりでこの有り様かと嘆くしかなかった





ストーリーメニュー

TOPTOPへ