クローン人間は同じ夢を見るのか 〜オルタナティブ・キイ〜
第7章 バルケシルの炎
3機のドライセンは1機が近付くとすぐに後退し、別の機体が近付いてはまた後退といった牽制を何度も繰り返しいく
浮遊している巨大な物体は自動操縦らしくそのまま引っ掛かり手前に近付いてきた敵を撥ね退けようとビーム砲を乱射していた
だが、その乱射は格納庫やら滑走路など次々と破壊していくものだからドライセンはやり方を変えなくてはならなくなってしまった
その様子を遠くから眺めていたラーズは不審に思い始めていた
〈あんなただのデカブツをなんで確保しようとしているんだ?? あれだったら編隊くんじまえばやすやすと落とせそうに見えるんだけどな〉
ラーズもドライセンのパイロットと同様に考えていた
未知の巨大物体とはいえ、あまりにも平坦な攻撃に拍子抜けしているのだ
いまここで緊張感がはしっているのはおそらくローズだけだろう
彼女はいまだ物体の中でどす黒いものが眠っているだけだとわかっていた
いつ、それが目覚めてしまうのか
どうして、眠らされているのか
ローズにはこれから起こるであろう惨劇が目に浮かんだ
巨大な浮遊物体はビーム乱射により次々と牽引ロープが外れていく
縦に直立したような姿勢のまま、倒れること無く動きを止めた
「まずいよ?」
ローズが放った言葉にラーズとレヴァンは「えっ?」と顔を向けた瞬間!
当たり一面がストロボ照射されたかのように真っ白になる
ドォォオーーーーッッッ!!!!
轟音とともに衝撃波がラーズたちが潜む斜面にまで到達した
皆はタープの中に身を隠したが貧弱な布切れはあっという間に爆風に煽られて天高く飛び去ってしまった
「離れよう!」
3人は慌てて斜面を登って、丘の反対側まで走ったのだった