クローン人間は同じ夢を見るのか 〜オルタナティブ・キイ〜
第7章 バルケシルの炎
「おいッ!?動きがあったぞッ!!」
交代で見張りに付いていたレヴァンはすぐに仲間へ通信した
丘の反対側のテントで仮眠をとっていたラーズはローズに揺り動かされて起き上がる
寝ぼけ眼で足元もふらつかせながらラーズは斜面を登る
丘を越えて荒地の岩肌ばかりの斜面を滑るように降りていく
すでにあたりは暗い
そして丘から見通せる眼下では炎上しているバルケシル基地は暗やみの中、そこだけがまばゆく光っていた
すぐにタープの陰に潜り込んでレヴァンと合流する
振り返るとローズも後から着いてきていた
双眼鏡を覗かなくてもわかる
基地は燃えていた
「おお〜!?始まったなぁッ!!
派手にやってるじゃないかッ!」
「事故の衝撃で防衛システムが作動したようなカンジだな、攻撃してはいるが闇雲に撃ちまくってるだけ、何かの意志を感じないんだ」
レヴァンが見てきた状況の説明をすると後ろからローズがぽつりとつぶやいた
「……そぉね……、中に誰かが居てる思念のようなモノは感じ取れるんだけど、なんだか眠っているみたい……、もしくは眠らされてるようだわ
レヴァンが言った通り自動操縦で危険を察知したシステムが過剰に反撃しているようね」
「……お、おう?」
レヴァンは小さな子どものローズから自分の意見を肯定されたのでびっくりした
「おい、ラーズ!お前の妹は何なんだッ?
ニュータイプとか強化人間とかなのかッ??」
ラーズは双眼鏡を手にして巨大な浮遊物体を見つめる
「まぁ、遠からず近からず」
燃え盛る基地から航空機が出ようと前に進んでいたが滑走路が蒸発してしまったために足止めを食っていた
代わりに格納庫の中から重モビルスーツ、ドライセンが3機小隊で出動してきた
ドライセン小隊はホバリングしながら左右に素早く展開、敵のビーム砲をかわしながら少しづつ近付いていった