クローン人間は同じ夢を見るのか 〜オルタナティブ・キイ〜
第7章 バルケシルの炎
ラーズとローズを乗せた車はヘッドライトを消して戦闘中の基地へ向かう
レヴァンとケイティは基地より離れた区画から様子を見る
万が一のことがあれば応援を要請してもらう手はずになっていた
基地のまわりの金網はすべてビーム砲の攻撃に焼かれ、辺りは爆散したような状態だ
基地内の兵士たちも右往左往しながら叫んでいるが、すでに基地の指示機能は停止しているように思える
ローズの言った通り、近距離にまで接近するには今が絶好のチャンスではあった
ただし彼らにモビルスーツや機動車両のような兵器は無い
単身乗り込んだものの、うまい手があるわけでもなかった
ただ
こちらには〈エターナル・チャイルド〉ローズが居る
ラーズはそれに賭けたかったのだ
スティーブ・グリメットの探すまだ見ぬ娘たち
至るところから火の手が上がる戦場をラーズはうまくかわしながら車を進めていった
目の前には崩れ落たモビルスーツ、ドライセンの姿があった
それを通り抜けて爆走して進む
すると今度は頭上からもう一機のドライセンが落ちてきた!
ドーーン!!と地面が揺れ、車は跳ね上がった
遠くから観察していたときのドライセン小隊は善戦していたが、どうやら敵の前には歯が立たなかったようだ
「あっ!?」
ラーズの前に立ちはだかる最後のドライセン
車をドライセンの足の間からすり抜ける
ドライセンは身動きしていなかった
すでに撃墜されたあとのようだ
小隊は全滅した
だがここはゼントリックス軍の主要基地だ
小隊だけではあるまい!とラーズは考えていた
最初の小隊は尖兵隊に過ぎない
戦い方を探るために出撃した猛者だろう
ラーズの予測通り、火を吹く格納庫の奥から別のモビルスーツがゆっくり出てきた
「なんだッ!?あれはッ??」
ラーズが知らないのも無理はない
旧式のドライセンをバージョンアップされた新型機〈ギラ・ドライセン〉だ
機体に派手なペイントが施されているからには名のある部隊なのかもしれない
それはアビゲイル将軍率いる〈アフターシン部隊〉のギラ・ドライセンであった!