クローン人間は同じ夢を見るのか 〜オルタナティブ・キイ〜
第7章 バルケシルの炎
濃いめのグリーンの全体塗装に肩や足元のアーマー部分をピンクに染めたド派手な〈アフターシン〉部隊は歴戦の猛者らしく、機体の各所を後から武装を足したようなツギハギだらけのような風貌だ
後ろに続くギラ・ドライセンも同じようなペイントが施されている
副長のロジャーがモニターに映る基地の惨状を嘆いていた
「あーあ、めちゃくちゃヤッてくれちゃって!
馴染みある基地だったんだけどなぁッ!
アビゲイル将軍どの?どうします??」
ロジャーは聞くまでもないが、とりあえず上官の顔色を伺った
とにかくアビゲイル女将のヒステリーにうんざりしていたからだ
「ふんっ、いちいち聞くな、ロジャー!
ダンマリ決め込んだデカブツなんぞ、調べるまでもないッ! バラバラにしてダウニング博士に回してやれッ!」
「まぁ。そうですよね?
っしかし尖兵隊は何の情報も得ぬまま撃墜ですか…、意味なかったですな
やっこさん、立ち上がったまま乱射してばっかりのようですが、どう攻めます?
係留していたときは細長い戦艦のように見えましたが、縦に立っちまうと棒っ切れのようだ、しかしなんとバカでかい……」
地面にグサリと挿した杭のようだ
数百メートルはあろう、巨大な杭
「尖兵隊のフォーメーション攻撃は相手にされなかったんだッ! 小手先は通用しない事ぐらいはわかりそうなもんだねッ!」
それだけ告げると、先頭に立っていたアビゲイル将軍機は僚機と打ち合わせをすることも無く一機で特攻していった!
ロジャー副長はあいかわらずの上官の暴走に事に呆れていた
「まぁた、始まったよ」
アビゲイル・モリセイル
ハルフォード提督の配下〈ラストディナー〉の一翼を担う暴虐の女将
味方ごとナパームで焼き尽くす事件から始り数々の悪行を尽くす武将だ
その下に就く副官たちはころころ変わっていったが、ここ数ヶ月はロジャーで落ち着いている
いや、ロジャーだけが生き延びている
肩から担いだメガ粒子ジャイアントバズーカを振り回しながら突撃していった!