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クローン人間は同じ夢を見るのか 〜オルタナティブ・キイ〜

第7章 バルケシルの炎


機体の頭部が溶けて、爆発した!


さらに腹をかばうように守っていた左腕も爆発してしまった!


全身から火を吹きながらそれでも突進する!


「イアン!やめろッ!」

ロジャー副長の通信が届くころ、すでに操縦席から2人は離れていた


残された右腕を腹のコックピットハッチに近づけて、2人は外に出たのだ


まわりはまばゆいビーム砲の雨だ!


振り返ると機体はすでに爆発寸前だ

どちらにせよコックピットに居座り続けたところで誘爆に巻き込まれていただろう


そのまま敵の機体に突撃させる!


「ラーズ!」

「ローズ!」


ふたりはもしかすると敵の表層に展開しているバリアで燃え尽きてしまうかもしれない、と互いに抱き合った



だが



その瞬間


一瞬だけであったが、すべてのビーム砲がなくなり、表層をバチバチさせていた光の壁も消えた



「あ…?」


ローズはラーズに覆いかぶさられるよう守られていたが、その隙間から上空を見た

ああ、今日はこんな星空だったんだ?


「飛ぶぞッ!!」


ラーズは抱き合いながらその場から、飛び降りた


敵の機体の表面に張り付いた!


近くの整備用らしきタラップの手すりをつかむ

二人分の体重が一気に右手にかかる!

ペアが子供でなければ振り落とされていただろう


その直後


再び敵のビーム攻撃が始まり、静寂の時間は終わった

さらにバリアが再展開されていく

すると激突したギラ・ドライセンの機体はたまらず大爆発を起こした


バリアが焼き払ったのだ


ラーズは爆風にさらされ、思わず手すりを離してしまうが、ちょうどその先が中に入る入り口の扉だった


瞬間的にラーズの顔が認証されてしまい、警告ブザーが鳴った


「わたしを持ち上げて!」

ラーズがひよいと少女を担ぎあげた


ピピ!


認証された!


扉のロックが解除された!


素早く中に入りこむ

扉が閉まりこむとラーズは片膝をついて倒れてしまった

「ラーズ!?」


見ると彼の背中は破片がいくつも刺さっていた

爆風からローズを守るため、ラーズは自ら盾となっていたのだった


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