クローン人間は同じ夢を見るのか 〜オルタナティブ・キイ〜
第11章 眠り姫
キアラは目を覚ました
あれからどれくらいの時間が経ったのだろうか
当たりを見渡すと自分はどうやら医療カプセルの中に入れられているようだ
新鮮な空気、カプセル内はほんのり暖かい
腕には点滴らしきチューブが取り付けられている
それが何を入れられているのかまではわからない
わからないものを体内に取り込まれているのは不快だ
カプセルのフードは手で押すと簡単に押し上げられる
どうやら監禁されているわけではなさそうだが、どうせ部屋の中までの自由であろう
部屋は医療カプセルがふたつ並べられているが隣は空だ
立ち上がろうとするがうまく力が入らない
もともと数年間ムーンブレイドの中でスリープ状態だったのだから仕方がない
手元のレイガンも取り上げられており、抵抗できそうにもなかった
あの2人はどうなったのだろう
上官であろう女性兵士、トラビス
部下の少年はまだ未熟な印象、たしかアトキンスと言ったか
唐突な出会いであったため彼を傷つけてしまったのが申し訳ない
てっきりムーンブレイドを略奪する輩かと思い込んていたから許して欲しい
しかし囲まれたとき、あの2人の立場はあまり良く無さそうだった
生きているといいのだけれど…
キアラは再び横になった
カプセルのフードは開けたままにしておく
カプセル内の人工的な空気よりも、開放感あるほうが心地よかった
さて、これからどうしたものか
思案しているところで部屋の扉が開いた
男が2人入って来た
ひとりは警備班のようで入室はせず扉で直立して待機している
上官らしき若い男がまっすぐカプセルの横に立った
「起きていましたか?
カプセルは自力で開けたようですが、なぜ部屋からは出なかったのです?施錠もしていなかったのに」
「………体力がほとんど残ってないない、立ち上がることもままならない
それにどうせ空間の自由の大小なだけでここから解放されるわけでもないのでしょう?」
「栄養はチューブから与えていますが血圧が低すぎるようだ、もう1日休んでいるといい
そうしたら基地を案内しますよ
おっと、私はオーウェン
ハルフォード大佐の部下で貴女の身の回りのことをサポートするよう命じられています」
若い男は屈託なく笑った
作品トップ
目次
作者トップ
レビューを見る
ファンになる
本棚へ入れる
拍手する
友達に教える