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どうして僕たちが…

第6章 真相

「柊一っ!」

「…じゅ…ん…?」

純が目の前に現れた。
それと同時に僕は首を締め上げていた腕から解放された。
誰かが横から僕を背後から締め上げていた男を蹴り飛ばしたらしい。
男は蹴り飛ばされた勢いのまま壁に激突し倒れ込む。
どうやら気絶したらしい。

「ガハッ!ゲホゲホ…」

咳き込んで倒れ込む僕を咄嗟に如月が支えてくれた。

「如月…?」

「大丈夫?柊一。」

灰音が俺の背中をさすってくれる。
美奈と相沢さんは純と共に俺を守るかのように前に立った。

「一体、何が目的?柊一が狙いだったんでしょ?」

美奈が言う。
違う…コイツは…

「違うよ、美奈。コイツ、僕に言ったんだ。『あなたもハンサムね。』って。僕は元々、コイツの標的じゃなかったんだ。思えば、僕が最初に襲われたあの日。僕は“偶然”ココを通ったんだ。僕が襲われたのは多分、見てはいけないものを見てしまったから。それ以上でもそれ以下でも無いんだろう。」

美奈はハッとした顔をする。
僕は続けた。

「多分、灰音と美奈も違う。僕の後に事件に遭ったのは2人だけどそれなら何故、直接危害を与えないのか。理由は簡単。2人が狙いじゃないから。これについては如月にも同じことが言える。」

僕の言葉を聞いた相沢さんが目を丸くする。

「じゃあ…」

「そう、階段から突き飛ばされた純と車に撥ねられかけた相沢さんだ。そうだろ?」

僕は女を真っ直ぐ見つめて言った。
如月がスッと純を背後に隠したのが目に見えた。

「ただ、分からないんだ…何故、すぐに襲わなかったんだ?僕をすぐに襲ったのは分かる。でも、2人を襲うまでの間にわざわざ、灰音の図書館の利用記録を調べてまで図書館の中を荒らしたり、美奈の時間割を調べてまでホワイトボードに脅迫文を書いたのか?逆に警戒されると思うけど…」

「でも、俺、実際、階段から突き飛ばされたけど?」

純が不思議そうな顔をする。

「まあな。でも、結局理由が分からないんだ。僕が襲われた直後にしなかったのは分かる。警戒されるだろうから…。でも、その間にわざわざ灰音と美奈を巻き込んで事件を起こすのか?そこが分からない。」

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