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どうして僕たちが…

第6章 真相

「外側から壊そうとしたから…とか?」

低い声が聞こえた。
いつもと全く違う如月の声。
でも、全く有り得ない話じゃない。
現に2人も灰音と美奈の話を聞いて若干は動揺していたと言う。
その隙を狙ってというのなら頷ける。

「壊す?そんな生優しいものじゃ無いわ。苦しませるため、まあ、所謂悩みってやつね。」

女が言う。
灰音が相沢さんを見る。
相沢さんは俯いていた。
確か、灰音は図書館の話を相沢さんにしたと言っていた。
灰音としては何とも思っていなかったのだろう。
でも、相沢さんは?
心優しく気遣いが出来る彼女としては、かなり不安の種になったのかも知れない。
じゃあ、純は?
僕は純の方を見る。
純は僕の視線に気付くとハッとしてすぐに視線を逸らした。
僕か?
僕、純に何かしたっけ…あっ!
そうか…確か僕が最初襲われた直後に会ったのは純だった。
だから、余計に心配させてしまったのか。
若干の動揺どころじゃない…かなり不安や心配の元だった。
だから、2人ともそれが影響して注意力散漫なところを狙われたのだろう。

「僕があの時ここに来なかったら「違う!」っ!」

僕の呟きに被せるかのように声が飛ぶ。
純だった。

「違う。柊一は悪くない。何でもかんでも背負うなよ。今日も誰にも相談せずに1人で来るし、今は自分が悪いんじゃないかって思い込むし。お前は俺を突き飛ばした?違うだろ。心配させた?上等だ。心配させられてなんぼなんだよ、こっちは!」

「そうよ!隠し事されるより悩みとかは共有された方が良いわ。それで危ない目に遭ってもが自分の知らないところで何かが起こってた方が私は怖い。だから、水沢さんが私に話してくれて本当に良かったと思う。如月くんが守ってくれたから無傷で済んだしね!」

相沢さんに言われ、如月はにっこり笑う。
いつも通りの僕たちに戻ってきた。
さて…この状況をどう打開するか。
さっきよりは頭は正常に動いてくれてるらしい。
その時だった。
女は徐に取り出したのは…
拳銃…
その銃口が向けられているのは…

「純っ!」

僕は考えるより先に体が動いていた。
いつの間にか純の背後に女がいた。
僕は彼を背中から抱え横に跳んだ。

パァン!

そこで僕の意識は途切れた。

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