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ミニチュア・ガーデン

第4章 幸せへの崩壊

「ラーク、こっちを見てくれ。お願いだ。俺は、お前と同じで死ねないんだ。だから、一緒に生きてくれ。ラーク、お願いだ」
 ガルクの言葉は殆ど届いていない。彼の視線はどこかを見たまま動かず、口を開いたと思っても、同じ言葉を繰り返すだけだ。
「死にたい。殺して。死なせて。殺して……」
 ブツブツと、延々と続く哀願にガルクは深いため息を吐き、彼の上から避け、自身の服を脱いだ。
 それから、座った状態で、肌を重ねる様に彼を腕に抱いた。
 弱り切った、冷たく、力の入っていない体はまるで死体だ。が、続く哀願の言葉と体温と、肺の動きがまだ生きていると実感させる。
「ラーク、ラーク」
 バランスも悪く、少しでも密着しようと腰を引き寄せる。それでも彼は反応がなかった。虚しさにガルクは思わずキスをした。何の意味があるのかと問われても、ガルク自身答えられない。ただキスがしたかったと言う他ない。
 そのキスは、唇に唇を重ねるだけの物で、彼の哀願の言葉を塞ぐには不十分なのだが、彼は言葉を紡がなかった。ひび割れ、裂けた唇はカサカサで、柔らかい感触など皆無だった。
 彼の頬に一筋、涙が流れた。
 それは、ガルクが流した涙が彼の目のそばを辿り、流れた涙だった。

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