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終焉のアルファベット

第4章 闇の勢力

しかし、教皇ルシウス三世はその反論を物ともせず、金色に輝く聖杖を手に持ち、堂々と言い放ちました。「ならば反発を受ければよい。我々の立場は神に選ばれたもの。その信念を守り抜くことこそが我々の義務だ。ヴィンチェンツォ・ディアモンディの作品が教会の規範に反しているなら、それを許すわけにはいかない。」その言葉に、室内の空気が一瞬で凍りつきました。教皇の権威が、否応なく彼らの心に突き刺さり、彼らの疑問や反論を無力化していきました。

「ルシウスの意志に従いましょう。私たちはヴィンチェンツォの新作を没収し、公開されている作品を破壊する。そして、彼が再び筆を取ることを防ぐための措置をとるのです」と、フェルナンドは教皇の意志を汲み取り、鋭い視線で他の二人を睨みつけました。セバスチャーノとジュゼッペは無言で頷き、彼ら自身の心の中に生まれた疑念を、深く押し込めることしかできませんでした。

神聖な一室に満ちたのは、決定が下された後の重苦しい静けさと、彼らの決意の重さでした。

ヴィンチェンツォはローマ教皇の怒りを感じ、無数の困難に立ち向かうことになりました。彼の前途多難の日々は、彼の新作「終焉のアルファベット」が神聖な教会の広場で焚き火にされた瞬間から始まりました。名もなき暗闇の手がヴィンチェンツォの作品に火を放つと、そこから煙が立ち昇り、その墨で描かれた芸術的な文字たちは炎の中でゆらゆらと踊り始めました。それは、彼の情熱が一瞬で灰になる様子を、痛々しくも美しく描き出していました。

次に訪れたのは、彼の名声への冷酷な一撃でした。教皇とその信徒たちは、ヴィンチェンツォが教会の規範に反する者、邪教の信者であるという虚偽の噂を市内中に広めました。彼の名前が唱えられるたび、彼の評判は闇に葬られ、名誉が土に塗りつぶされていきました。

さらに、彼は人格攻撃と中傷の風に吹き荒れられました。大衆の前で「異教徒」、「堕落者」、「邪悪なる者」と罵られ、その度に彼の心は引き裂かれました。彼の創造性と才能が異端視され、彼自身が一人の芸術家として認められない日々が続きました。

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