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女教師 2

第1章 女教師



「先生だって…女なのよ…」

 わたしはそう囁き、彼に指先を絡めていく…


 バーで偶然ナンパしてきた彼は…
 4年前に着任した高校の教え子だった。


「隣、いいですか?」
 
「え、あ…」

 ふと、彼を見ると…

「あ、ゆ、悠里先生?」

 え…あ、誰だっけ?…

「う、うん、久しぶり…卒業以来よね」

 すぐには名前が想い浮かばない…
 
「あ…」
 するとわたしの目を見て、そんな声を漏らしてきた。

 そう、さっきまで泣いていたから…

「あ、うん、なんでも…ないの…」
 顔を横に向ける。

「え、なんでもなくないんじゃ…」

 そう、ついさっき、約7年間付き合った男にフラれたのだ…
 なんでもなくは…ない。


「先生だって…女なのよ…」
 
 学校の外では…
 先生なんて呼ばれたくもない…

 ただの…
 一人の女なんだから…




「あ、ぁぁ、んん、ぁぁ…」

 そして…
 彼に抱かれていた…

 誘い方がスムーズだったし、清潔感があって、かわいかったし…

 それになにより…
 今夜の寂しい心の穴を埋めたかったから…

「卒業式の時に、キミは手紙をくれたわね…」

 ようやく、彼のことを想い出した…
 そう当時、おそらく、毎晩、毎夜、わたしの事を想い、自ら慰めていたであろう、童貞男子高校生であったのだ。

 それが今…
 4年間という時の流れの中で成長し…
 彼はわたしを抱いていた、いや、抱かせてあげていた。

「あぁ、うっ、ゆ、悠里先生、ううっ」

 えっ、もうイッたのか…

「ふうぅ…」
 そして満足気な顔を向けてくる。

 おいおい、まだまだ…
 まるで、ガキのセックスだ…
 
 いや、あの人と無意識に比べてしまったからそう思うのか…

『妻がガンの末期でな…』
 何が最期まで添い遂げたいだ…
 じゃあ、わたしとの7年間は何だったのだ…
 
 こんなんじゃ、わたしの心の穴は埋まらない…

 いや、少しでも彼に期待したわたしがバカだったのか…


「ねぇ、また逢いたいわ…
 電話番号教えてよ…」

 教え子だし…
 下手な噂を広められても困るから…
 一応、カタチだけ…
 わたしは大人の対応をする。


「あ、はい、ぜひ…」

 だが、あくまでも口止めの為に訊いただけの…
 ポーズだ。
 

 まだわたしには、10年早い…





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