テキストサイズ

ぼくはキミを追い払えない 〜エクソシズム†ロストコロニー

第3章 シモンズ・シモーヌ


フィルは施錠出来ないまでも扉だけはしっかり閉めて教会を離れた


狭い路地裏を通り抜けていく

まだ朝だと言うのにあたりは薄暗い

壁は落書きだらけ、燃やされた車、どうみても治安は良くない


廃棄されたロストコロニー、25バンチコロニーは以前にフィルが暮らしたサイド7とはかなり様子が異なっていた


“あれ?ここさっき通った?”

昨日はシモンズに案内されたのでついて行くだけで良かったが、1人では来た道さえ戻れなかった


すると雑居ビルから人が出てきた


女性がふたり


よく見ると見覚えがあった顔だ


「シモンズさん?」


「んん? あ、昨日の坊や?」


偶然、昨日教会まで道案内してくれたシモーネ・シモンズと出くわしたのだった


「あら、シモーネ!こんな若い子にまで手を出してるの?」


シモンズのそばに立っていた女性はキャミソール姿の軽装でフィルの若さに驚いていた


「そうそう、フィルとか言ってたな!なんだキミも朝帰りか? ……て事はまさかクレリアとヨロシクやってたのか!? アイツ身持ち固いフリして初対面の男の子を食っちまったのか!?」


フィルは下品なシモンズの口調に冷ややかだ

「何にもしてませんよ、人聞きの悪いことを言わないでください」


「初めましてフィル君、わたしはベリンダ
 シモーネの友人兼愛人よ
 さぁさぁ、シモーネもさっさと出ていってちょうだい!わたし昼の仕事も始めたんだから!」


「なんだよ、ベリー!夜はあんなに燃えてくれたのに、朝になるとつれないな!
 じゃあね!アンタも身体壊さないよう頑張って!」


フィルとシモンズはとぼとぼ朝の路地裏を歩くことになった


「シモンズさんって兵隊さんなんでしょう?
 いいんですか、職場に戻らなくて?」


「バーカ!呑みに出るときは休みの前日って決まってんだろ! おい、もうちょっと付き合いなよ? なんか腹に入れていこう!」


そう言ってふたりは昨日の地下のパブへ戻ってきた


昨日のマスターが会釈して無言でグラスを拭き続けている


フィルは“まさかあのマスター、勘違いしてないよな? 昨日の今朝だから”と気が気でなかった


「それで? クレリアと話しは出来たのかい?
 アンタ、彼女に会いにわざわざ地球から来たんだろ?」


シモンズは迎え酒を食らって聞いてきた


ストーリーメニュー

TOPTOPへ