ぼくはキミを追い払えない 〜エクソシズム†ロストコロニー
第3章 シモンズ・シモーヌ
軌道エレベーター
それはスペースコロニーの外壁を移動できるバスや電車のような乗り物で、コロニーの外壁のレールの上を移動するため、窓には宇宙空間が広がっている
「ほら、見てごらん、あの向こうに見えるのが一番古いコロニー“ロンデニオン”と“シャングリア”本当ならここも人で溢れかえったコロニーになるはずだったんだろうけどね
ちなみに私はロンデニオン出身なんだ
もう身内は誰も残ってないけどね」
シモンズは遠い目をしていた
「シモンズさんは一年戦争では戦ったんですか?」
「2〜3回の出撃はあったさ、でも学徒兵みたいなもんだったからねぇ、激しい前線にはまわされなかったんだろうね
おかげで先輩たちが戦場で散ってしまった
私は仕方なく順番で繰り上がっただけの“武勲無き小隊長”さんだよ」
そうは言っても宇宙にはジオンの残党がたくさん残っているだろう
フィルは謙遜している彼女に初めて好感をもった
「そう言うフィルはなんでわざわざ宇宙に上がってきたんだ?私から見ればアースノイドはエリートのイメージだけど?」
「もともとただの一般的な家庭の子供でしたよ
でも、少し奇異な現象に遭遇してしまって、身内のように親しくしていた人が次々と亡くなったんです
そのとき関わった人から勧められたんです
年老いた神父だったんですが、ボクには教師のような存在でした
その神父も幼馴染みも霊障によって命を奪われてしまったんです
つまらないでしょう?こんな話し
オカルトめいていて?
宇宙で話すようなことじゃないですね」
フィルは苦笑いをしたが、シモンズは真剣な顔をしたままだった
「フィル……奇異なことはこのコロニーでも起こっているのよ、それを防ぐためにクレリアはひとりで戦っているの……
あの子はただの司祭コスプレしてるわけじゃないの、あの子のおかげで救われた人はたくさん居てるわ」
奇異なこととは何だろう?
フィルが聞き返そうとしたとき、エレベーターは宇宙港に到着してしまい、聞きそびれてしまった
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