一夜限りでは終わりたくない
第1章 一夜限りの関係
周りから見たらエスコートされているように見えるが、腰をしっかり押さえられて逃げることが出来ない。
お店から出た高柳はタクシーに私を押し込んだ。
「あっ…あの…どちらへ行くのですか?」
すると高柳は片方の口角をあげて声を出す。
「僕の部屋に行こう。僕は独身だし問題は無いけど、誰かに見られたら奈々ちゃんが困るでしょ?だからホテルより僕の部屋が安心だよ」
驚いた。
高柳は自分の部屋に私を連れて行こうとしている。
タクシーから降りるとそこには高級タワーマンションがそびえたっている。
部長の彼がこんなにも高級マンションに一人暮らしとは不思議に思えてくる。
高柳の部屋はタワーマンションの最上階。
「さぁ、奈々ちゃん。お入りください。」
高柳がドアを開けて私の背中を押した。
私は拒否をして部屋に入ることを拒んだ。
「私…帰ります…帰らせてください。」
すると高柳はクックックッと不気味な笑いをした。
「あれ~奈々ちゃんは帰る家があるのかな?」
何故この男はそんな事を知っているのだろうか。
「営業部に電話したらさぁ…知り合いの男性社員が面白いことを教えてくれたんだ。…奈々ちゃんの同棲している男が浮気して…帰るところが無いらしいってね…」
「なっ…何を言っているのですか」