一夜限りでは終わりたくない
第2章 曖昧な関係
「今日は約束の通り、これ以上は何もしない…安心しろ」
唇を離した藤堂副社長は、私の頬に手を添えて微笑んだ。
その姿はとても色気があり、顔が熱くなり鼓動も早くなる。
私は堪らず声を出した。
「やめないで…もっと欲しいです…お願い…」
私の言葉を聞いた彼の眼は、雄の色に変わった。
初めて抱かれた時にも見た獲物を狙う獣の目だ。
「俺は我慢していたのに…こんなに可愛いおねだりされたら、止まらなくなる」
彼は私を上から組み伏せた。
すると、今度はいきなり深く激しい口づけをする。
口の中で深く入り込んだ彼の舌は、私の上あごを執拗に攻め続ける。
私は酸素を奪われる苦しさと、与えられる快感で頭がふわふわしてきた。
着ていたTシャツはいつもまにか脱がされ、敏感な胸の突先を指で捏ねるように摘ままれると、電気が体を抜けるような感覚がする。
「藤堂副社長…私…」
私の言葉に被せるように彼は言う。
「翔也だ…名前で呼んでくれ…奈々」