一夜限りでは終わりたくない
第2章 曖昧な関係
仕事が終わり会社を出ようとした時だった。
会社の前に一台の黒い高級車が止まった。
そこから降りて来たのは翔也ではないか、私は思わず気づかれぬよう物影に身を潜めた。
翔也は誰かを待っているようだ。
そして、間もなくして現れたのは、あの専務に着任した女性だった。
その女性は微笑を浮べて翔也に近づくと、翔也は待っていたように車のドアを開けたのだ。
今日は秘書ではなく翔也が運転している。
助手席に女性を乗せた車はどこかに走り去ってしまった。
やはり里香が言っていたことは本当のようだ。
翔也と専務は恋人同士なのだろうか。