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はなことば

第10章 Coreopsis《大学生》

〜唯音side〜


家に帰ると
僕に先にシャワーを浴びるよう
彼女は言った

あがると彼女は待っていて
交代でシャワーに入った

彼女があがるのを
僕はソファに寝転んで待つことにした。


ただ、気がつくと
僕は眠ってしまった


パッと目が覚めた時、辺りを見回すと
彼女の姿はなかった

そして机の上に1枚のメモ_



" 1週間ありがとう。
いい夏の思い出になったかな?

面と向かってさよならするのは辛いから

先に行くね。鍵はポストに入れて置いて。

唯音……本当にありがとう。

私、また…あの世界で頑張ってみようと思う。

キラキラした姿でまた唯音に会えるように。

また会える日まで…またね。

李杏"




置き手紙を残して、彼女はいなくなった。



.




あれから半年後_



あの出来事がまるで夢だったかのように

僕の現実はありきたりなものに

戻って行った



弟「兄貴、
俺のcoconutsのLIVEDVD持っていった?」

唯音「あっ、ごめん。借りてた。」

弟「おーいー!勝手に借りんなよ。」

唯音「ごめんって。」

弟「復習しておかないと〜」

唯音「……復習?」

弟「歌田李杏、活動再開するんだよ!!
さっき速報ニュースになっててさ」

唯音「え!!!!まじ!!!!」

弟「…えっ、なんでそんな興味津々?」

唯音「えっ、、あっ、……えっと……」

弟「来月の新曲から、復活するんだって」

唯音「そっか……。」

弟「楽しみだなぁ〜」



弟の言う通り
歌田李杏は活動再開した


テレビ中で
キラキラ映る彼女の姿は
もう指1本触れられない、手が届かない存在だ


あの時とはもう全然違う


彼女は僕を……


もう忘れただろうか_



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