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はなことば

第7章 Sea Holly《兄妹》




家に着くと、母も父もいなかった。
父は出張。母は夜勤。


色羽は慌てて救急箱を取り出した。


色羽「虹輝座って」

虹輝「いいよ、こんなのほっとけば治るよ」


唇の端が切れ、血が出ており
頬も少し赤くなっていた


色羽「…お願いだから。座って。」


虹輝「わかったよ…」


ソファに座ると
消毒液を唇に当てた


虹輝「痛っ……」

色羽「ごめんっ」

虹輝「貸して、自分でやる」

色羽「見えないでしょ?
私がやるから。じっとしてて。」

虹輝「…ん。わかった…。」




傷の手当を終えると
色羽が先に口を開いた



色羽「…ごめん。巻き込んで…」

虹輝「巻き込んだわけじゃない。
俺が勝手に…吹っかけただけだから。」

色羽「……グスン」

虹輝「…色羽? 色羽もどっか痛い?」


泣き出す色羽に
そっと駆け寄る虹輝


色羽「違う……どこも痛くない…」

虹輝「…だったら」

色羽「怖かったの…グスン 本当に…怖かった…グスン」



涙が止まらない色羽を
虹輝は思わず、抱きしめた



虹輝「ごめん……ごめん、怖い思いさせて。」


色羽「…虹輝にケガまでさせて……グスン
本当…ごめん……。」


虹輝「大丈夫だから。…俺は全然大丈夫だから。」


色羽「大丈夫じゃないよ……こんな…グスン
顔に傷なんて……グスン」


虹輝「治るから…
…こんな小さい傷、なんてことないから」




泣きまくる色羽を慰め、
しばらくしてようやく落ちついた








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