テキストサイズ

デリヘル物語

第1章 初めてのおつかいならぬ初めてのデリヘル








正直言って僕は、女性と接する事があまり得意ではない。だから、例えば、履歴書などを書くときに、特技を書く欄があったとしても『私の特技は女性です』などと書いた事はこれまでに一度だってないし、ソーシャルネットワークサービスに女性とのツーショット写真やセックス動画を投稿したりして、フォロワーさん達からいいねをもらったり、時には『氏ね!』だとか『キモいんだよ、このリベンジポルノやろう!』とか『クンニばっかしてじゃねぇよ!そんでもって気持ち良い?って聞き過ぎなんだよ!』とか『つか挿入時間1分ってなんだよ!このロケットやろう』とかとか散々叩かれて、挙げ句には炎上。そしてそのSNSから永久的な追放を受ける、なんて事もなかった。


それに関して、実は、心当たりが無いわけでもない。ある時期を境に僕は女性と距離が出来るようになってしまった……。


そして、同時に、女性との交流も無くなっていったんだ。


もちろん、僕だって、このままではいけない、そう思って、いろいろと試行錯誤を繰り返してみた。具体的に言えば、マッチングアプリを手当たり次第にインストールしてみたり、ハプニングバーへの潜入を試みたり、或いはSMクラブに言ってドMのふりをしてみたり、時には性転換さえ試みようとした。でも、どれもいい結果は得られなかった……と言うか、全て実行に至らなかった。なぜかその手前で、いつも失敗に終わってしまう。


僕は、もうどうしていいのかわからずに途方に暮れるしかなかった。


あけみさんに出会ったのはそんな時だった。


あけみさん――あ、言っておくけど、これはあくまでも仮名で、と言うか、彼女がお店で使っている名前で、本名は確か……かれんだったか、かりんだったか、或いはその両方だったかもしれないが、とりあえずここでは『あけみ』――さんと呼ばせてもらうことにする。


そしてあけみさんと出会ったのは、紛れもなくあの晩の事だった。僕が初めてのおつかいならぬ初めてのデリヘルを体験したその夜だった。


僕はその日、あけみさんを一万五千円で買う事になったんだ……。


ストーリーメニュー

TOPTOPへ