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デリヘル物語

第1章 初めてのおつかいならぬ初めてのデリヘル



彼女の事を『一万五千円で買う』なんて言ったら、いささか語弊があるかもしれない。ひょっとしたら僕の事を女性蔑視主義者だとそう思う者がいるかもしれない。


でも、それは断じて違うんだ。僕は女性蔑視主義者などではないし、どちらかと言えばフェミニストの部類に属するんだ。ただ、ここで、フェミニストだとはっきり断言できないのには、先程も話したように僕は女性の扱いがポンのコツで下手のくそなんだ。だから残念ながらフェミニストとは言えはない。ただし、それにとてつもなく近い存在ではあるんだ。


なにしろ僕はその辺にいる『女性=セックスの対象』と言う絶対的な定義に取り憑かれているやからとは違う目線で女性を見ているし、言うなれば、僕の持つ定義は『女性=神聖的な生き物』だと言える。その理由はいたってシンプルで、この世界の法則に則るならば、女性とは男性よりもはるかに優位な立場にあるべき存在だと考えているからだ。なにより、女性は、僕にとって神的存在……そう、つまり女神なんだ。僕は女性なら誰もが女神に見える。だから、あの夜だってもちろん、あけみさんを女神として接しようと心に決めていたんだ。


あ、でも、あの晩は、別に初めからあけみさんが来るとわかっていたわけではない……と言うか、そもそもデリのヘルに指名と言う素敵なシステムが存在するなんて思いもよらなかったんだ。もしもあの時それを知っていたならば、こんなにも……。


ところで、僕がなぜデリバリーヘルスなるアバンギャルドな遊びを体験する事になったのか、その件についてはまだ話していなかったが、まあ、それはまた追々話すことにして……。その前に、まず今回はあけみさんと出会う少し前の事から話すことにする。


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