デリヘル物語
第6章 take4.3〜
「因果を、無くす……?」
「そう、つまり、簡単に言えば、きみがそもそもこうなってしまったのには何かしらの原因があるはずだ」
「原因ですか……?」
「そうだ、それを取り除けばこのループは終わる……はず、なんだ」
「僕がこうなった原因……?」
そうだ……そもそも、僕がデリヘルを呼ばなかったら、こんな事にはならなかった――いや、途中から既に、やばい状況なのは薄々だが気が付いていた。僕はそこでやめておくべきだったんだ。あの時、無理やりにでも、あけみさんを帰らせるべきだったんだ。
でも、僕は、それが出来なかった――。
あけみさんと……もっと色々とエロい事がしたかったんだ。それを……それを、やめられなかったんだ。
「まあ、でも、やはりそれをやるにはそもそも時間が足りない。他の手を考えるか、もう一度儀式を――」
「ごめんなさい、谷崎さん……。こうなったのは、僕のせいです……ぐっふっ……ぼっ、ぼくがいけないんです。ぼかがあけみさんと――」
「もう、いいんだよ、高橋くん。きみはなにも悪くはない」ふと谷崎が僕に言った。彼は、その様子からして何かを察しているように見えた……と言うか、察していたんだ。「きみはその女性を愛おしく思ったんだろ」
「いいえ……ぐふっ、違います……。僕はただ彼女とやりたかっただけ……なんです」
「それは、きみが単にそう思い込もうとしてるだけなんだよ、高橋くん。俺にはきみの感情がひしひしと伝わってきている。だからわかるんだ。これは、人間が持つ感情の中でも最も尊いものなんだ……。きみは少しも悪くはない」
「で、でも、わ、悪いのは……ぐすっ……やっぱり、僕です。僕は今夜……彼女を家に呼びました。それも一万五千円と言う、はした金で……僕は気持ち良い事がしたいが――」
「もういいんだ、高橋くん。自分を責めるのはそれぐらいにしておくんだ」そう言って、谷崎は僕の肩に手をぽんと置いた。
「いいか、高橋くん、さっきも言ったが、俺はもう既にきみに二回も助けられている。それに、きみはこれから、色んな人達を助けるんだ。だから、きみはもっと自分を信じてやるべきなんだ」
「た、たにじゃきさん……」