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幽霊の悩み事

第1章 幽霊の悩み事

 それから数日間、相沢はるかは僕の前に現れなかった。少し気になっていたが、神職の資格を得るために養成所の手続きをしたりで忙しかった。


「夏祭り?」

「出店もたくさん出るから、あの子を誘ってみたらどうだ?」


 あの子とは相沢はるかのことだ。父さんも気になっているんだろう。


「誘うといってもなぁ、どこにいるかわからないし」

『呼んだ?』


 突然、ぬっと壁から相沢はるかが現れた。


「数日間、何してたの?」

『え〜私がいなくて寂しかった?』


 相沢はるかはクスクス笑っているが、霊体が黒くなりかけていた。


「何かあった?」

『……あはっ、何もないよぉ』


 無理に笑顔を作る彼女の姿は痛々しかった。



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