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キセキ

第13章 Vol.13〜天使ですよ

「ねえ、なんで毎日来るの?」

 私、天使ですし。
 困っている人をほっておけないですし

「俺、困っている?」

 ええ、

「なんで分かるの?」

 なんと・・・なくです

彼女は一生懸命だということは分かった
それが分かって
不覚にも、僕は
自分の悩みを、思いを話してしまった

何もうまくいかなかった人生
 誰にも顧みられない小さい人間
妻と思った人間にも裏切られ
 子どもにも必要とされない
一人で過ごした時間が澱のように胸に溜まっていた
言葉が口をついて出てくる
 吐き出すように
  吐き出すように

彼女はじっと聞いていた
 そして最後に俯いた

話すことがなくなって、僕も俯いた
目の前で最後に頼んだコーヒーが冷めていった

次の日も、彼女は来た
 そして、僕に仕事を探しに行こうと言った
 なにか、資格を取ろうと言った

何かを目指して、歩こうとするのは久しぶりで
 僕はそのやり方をすっかり忘れていた

 上手くいかないなんてことないから!

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