テキストサイズ

愛されてると勘違いだったので、推し活をやめようと思います

第1章 私のヒーロー

「ごめんね、祐子(ゆうこ)ちゃん。あたし、彼と付き合うことになったんだ」



私は今、目の前にいる友人の花梨(かりん)と、その隣にいる『爆笑戦隊・爆レンジャー』の爆レッドを交互に見た。



「えっ……どういうこと?」



二人は見つめ合って、仲良く手を繋いでいる。



(どうして私の推しが……花梨と?)



「あたし、祐子ちゃんと一緒に爆レンジャーのイベントに行くうちに、レッドのことを好きになっちゃったの。ほら、イベントに行くと毎回モンスターが現れるじゃない? そのたびにレッドはあたしを助けてくれたの」


「!?」



(え、待って。どういうこと? 確かに花梨は私と一緒にイベントに来てくれたけど、いつも彼に助けてもらったのは私………)



「あっ」と私は小さく声を漏らした。



(……もしかして私の後ろに花梨はいた? レッドがいつも微笑みかけていたのは、私にじゃなく、花梨に向けてだったの?) 



私は目の前にいる爆レッドを見た。
彼は花梨だけを見つめ、全く私を見ていなかった。




ストーリーメニュー

TOPTOPへ