
見おサメ【3ページ短編】
第1章 宇宙ステーション
「惑星に似せてあるからね、海だけじゃなく大気にも含有されてたよ、少量だけどね」
「いちどはお酒のお風呂に入ってみるのが夢だったけど、本当にこういうのがあるなんて!」
「ボクはこっそり何度か入ってみたことがあるよ?主任には内緒でね!たしかに一時的にほろ酔いになるから仕事が出来なくてね、あのときは困ったよ」とブン太は笑った
ブン太は笑っていたが、ケイラは逆に本気の顔つきになっていた
「……仕事は昨日で終わったわ、今ならちょっとくらい酔ってもいいんじゃない?
どうせみんなも向こうで酔いつぶれてるし」
ケイラは不敵な笑みを浮かべて、首元のファスナーを下ろしていった
「け、ケイラ!?」
ケイラは真っすぐブン太のほうを見据えながらファスナーをおろしきり、タイトなパンツもおろしていく
肌着姿のケイラは迷わずタンクトップも投げ捨てた
呆気にとられているブン太を前に残された下着も取り去って、ケイラは何も身に着けないまま彼に見せつけるように立ち尽くす
「さぁ、あなたも一緒に酔いつぶれるのよ、
どう、わたしの身体?
見たかったんじゃない?
いつも見てくるブン太の視線が痛かったわよ
地球に戻ればこんな事は出来ないから今夜だけの見納めよ、ふふふ」
ふたりは陸生動物用の呼吸器をマウスピースのように挟み、ジャポン!と隣のカプセルに入った
骨振動マイクで直接言葉が脳に伝わる
「たしかにすぐに酔えそう」
「ケイラとこうしてるなんて、夢みたいだ」
「あなたがなかなか声を掛けてこないからいけないのよ、待ち疲れちゃった!」
ケイラは自分マウスピース越しにブン太に口づけをする
「はしたなく思わないで、今夜が最後の夜でしょう?酔った勢いよ」
ふたりの身体が密着するのを隣のカプセルからサメが見ていた
エサやり用に使われていた隣のカプセルがこちらと連結されていることをサメは知っていた……
終わり
