
仕事おサメ【2ページ短編】
第1章 スナイパー
「正面の通用口は使えない、裏に排出用の隔壁孔があるはずだ、そこから侵入しよう!」
死角の位置に身を潜め、排出口から侵入する
二重のエアロックを通ると、そこは水で満たされた水産プラントだ
しかも通常の淡水ではない
禁止されているはずの塩水だ
「フランク?これ海水よ?どうして!?
こんなのあり得ないわ、すぐに設備が腐食するはずなのに!?」
「ラザール議員の視察の目的はこれか!
海産物は淡水ものより高価で取り引きされるだろう?地球からの輸入しか手段が無いからな、
ラザールは条例を破って禁止されている海産物で裏取引してるんだ
今回の標的にされたのもきっと政敵からの依頼だな」
「そんなこと私には関係ないわ、私は任務を遂行するだけ!近くに管理センターがあるはずよ、標的はきっとそこよ!」
そのときフランクのセンサーが何かを探知した
「まて、何か近づいてくるぞ!?」
「議員の乗ったシャトルじゃない?プラント内の視察に来ているんでしょう?」
「いや、それにしては、あまりにもスピードが」
その直後、アビー機のスピーカーにはフランクの絶叫とともにガンガン!と衝撃音が聞こえたあとプツリと通信が途絶えてしまった
「フランク??」
身構えるアビー
全神経を研ぎ澄まし、どこから来ても対応出来る姿勢をとる
あ!と思った瞬間
頭上から大きなものが体当たりしてきた!
すんでのところでひらりとかわす
「なに??今の?? 生き物じゃなかった?」
通り過ぎた大きな生物はアビーの足下に消えていった
すぐにスナイパーライフルを足下に向け、いつでも射撃できる姿勢を取る
しかし足下は濃紺の色味だけで照明が無いと何も見えなかった
「暗すぎて遠くが見えない!」
そう思った瞬間、
怪物は足下からでなく正面から突っ込んできた!
「サメッ!!??」
巨大なサメが猛スピードで迫る!
アビーの下半身はあっという間にサメに咥えられ、頭をブンブンと振り回し、アビーの全身の骨を砕いてしまった……
遠くで重装甲の海洋挺がモニターしていた
「議員、侵入者の処理が完了したようです」
「ああ、わたしが依頼した“餌”だよ、消えても問題ない人間を雇ったんだ
私の可愛いマックスの為にね」
議員のペットの朝食が終わった
おわり
