
コーヒーブレイク
第2章 陰謀をめぐらせるとき
ここで、清水鏡子は“しないわけにはいかない質問”をしてきた。
「一つだけ、確認させてください。
警察に通報したのが会長だというのは本当ですか?」
「そうよ」
予想していたから、即答した。
「どうして!?」
「これは、過失致傷という立派な犯罪なのよ。だからよ」
「だからって、わざわざ警察に知らせなくてもいいじゃないですか。香織が逃げるわけないんだし」
「そうはいかないわ。全治1ヶ月。利き腕が使えないのよ。告訴されてもおかしくないんだから」
「告訴……」
おそらく、頭の中が真っ白になったのだろう。立っているのがやっと、といったところか。
「座りなさい。どこでもいいから」
遅ればせながら促すと、鏡子は斜め向かいの椅子に座った。
しばらく沈黙したあと、ようやく言った。
「香織は、どうなるんですか?」
「今は、とりあえず自宅待機してるのよね」
「はい」
「停学というか、出席停止は2週間までしかない。それ以上は退学だけ」
「……」
「正直に言って、告訴される恐れはほとんど無い。でも、それは学校が下す処分とは関係ない」
「じゃあ……」
「退学処分の条件として、『法令違反』がはっきり書いてある。だいたいタバコを想定してのことだけど、こういう事件も法令違反に含まれる」
私は立ち上がり、背を向ける。
尊大な雰囲気を出したいのと、久美への合図とするためだ。
「ま、覚悟してなさい。相当厳しい処分になるわよ」
「処分……まるで香織をゴミみたいに」
おっ、いいな。その単語使わせてもらおう。
私は、ゆっくり振り返ると、できるだけ意地悪く言い放った。
「だって、ゴミでしょ」
とたんに、鏡子が椅子を倒して立ち上がった。
(ま、そりゃ殴られるよね)
しかし、シナリオに無いことが起きた。
「規子!」
大声で叫んだ久美が、あっという間に私を床に叩きつけたのだ。
──それでも。
あまりのことに、叫ぶこともできない鏡子を見上げて、私は作戦成功を実感していた。
激痛とともに。
「一つだけ、確認させてください。
警察に通報したのが会長だというのは本当ですか?」
「そうよ」
予想していたから、即答した。
「どうして!?」
「これは、過失致傷という立派な犯罪なのよ。だからよ」
「だからって、わざわざ警察に知らせなくてもいいじゃないですか。香織が逃げるわけないんだし」
「そうはいかないわ。全治1ヶ月。利き腕が使えないのよ。告訴されてもおかしくないんだから」
「告訴……」
おそらく、頭の中が真っ白になったのだろう。立っているのがやっと、といったところか。
「座りなさい。どこでもいいから」
遅ればせながら促すと、鏡子は斜め向かいの椅子に座った。
しばらく沈黙したあと、ようやく言った。
「香織は、どうなるんですか?」
「今は、とりあえず自宅待機してるのよね」
「はい」
「停学というか、出席停止は2週間までしかない。それ以上は退学だけ」
「……」
「正直に言って、告訴される恐れはほとんど無い。でも、それは学校が下す処分とは関係ない」
「じゃあ……」
「退学処分の条件として、『法令違反』がはっきり書いてある。だいたいタバコを想定してのことだけど、こういう事件も法令違反に含まれる」
私は立ち上がり、背を向ける。
尊大な雰囲気を出したいのと、久美への合図とするためだ。
「ま、覚悟してなさい。相当厳しい処分になるわよ」
「処分……まるで香織をゴミみたいに」
おっ、いいな。その単語使わせてもらおう。
私は、ゆっくり振り返ると、できるだけ意地悪く言い放った。
「だって、ゴミでしょ」
とたんに、鏡子が椅子を倒して立ち上がった。
(ま、そりゃ殴られるよね)
しかし、シナリオに無いことが起きた。
「規子!」
大声で叫んだ久美が、あっという間に私を床に叩きつけたのだ。
──それでも。
あまりのことに、叫ぶこともできない鏡子を見上げて、私は作戦成功を実感していた。
激痛とともに。
