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スイーツ・スイーツ

第5章 真犯人はここにいる


理恵子先輩が口を開く。
「若葉、もうこうなったら、正直に言いなさい。あなたは瞳に突き落とされたと思って、かばっていたんでしょう」
「……そうです」
「今でも、そう思ってる?」
「思いません」

「でも、突き落とされたということは、これではっきりしましたね」
菫が話に入ってきた。
「問題は、誰が突き落としたかですよね」

すると、鏡子が──
「若葉が死んで一番トクするのは誰かと考えるのが推理小説の基本だろ」
「殺さないでくれる?」
「若葉が学年トップ、私が二番、となれば」

「・・・・・・冗談ですよね」
菫が顔色を変えていた。

「冗談抜きでね、一日ぐらい病欠すればいいのにね、と考えなくはないよ。こいつ皆勤賞ねらうぐらいだからなー」

耳をふさぎたくなるような、鏡子の言葉。私を“こいつ”なんて呼んだのも初めてだった。

「今なら、瞳に罪をなすりつけられますからね」
「そういうことよ……でも、喋ったらすっきりしたわ……さて、罰を受けなきゃね」

鏡子は立ち上がった。

「警察行きましょうか。付き添いますよ」

菫も立ち上がった。

「警察だけは勘弁してくれないかな」
「なに甘えてるんですか」
「だって、若葉だって、それは望まないはずよ」

いきなり振られた。

確かに、犯罪だ。許されることではない。

でも……。

「なら、どうするんです?」
「必殺・全裸土下座」
「……バカにしてます?」
「まさか」

鏡子は制服を脱ぎだした。

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