
脳内ショートストーリー
第3章 【真咲莉緒と伊藤蒼真〜上司と部下の恋〜】
好き………想いが溢れちゃう
この眼差しが私だけに向いていたら嬉しいな
なんて、期待ばかり
ポンポンしていた手が止まって、自然と目が合う
あ……この距離感、近過ぎる
他の誰かに見られたら間違いなく誤解されちゃうやつ…
「真咲……そんな顔したら一人で帰せなくなるだろ」
「え…?」
「今日の俺は全部、勘違いしてしまう…」
頭から頬に触れてきた手
「あ、すまん…」と離れていきそうだから
思わずその手を掴んでしまった
今はオフィスに2人きりだ
誰も居ない
少しくらい大胆になってもバチは当たらないよね…?
「勘違い…何をですか?」
「いや、その、何ていうか…」
「今日の部長は勘違いしやすいんですか?今日だけ…?」
「え、ち、近いよ、真咲…」
今度は私が顔を覗き込む
近寄って来たの、部長もじゃないですか
しどろもどろしている部長はいじり甲斐があって
愉しいかも
何で後退るの?追い詰めてあげましょうか?
ほら、デスクに座っちゃった
「んふふ、攻めには弱いんですね、部長は」
「んなわけあるかよ」
えぇ、顔赤い、赤くなってる……
何で?理由が知りたくなる
見つめ合ってると、やっぱり顔が良いなって
好きな顔だなって思うの
あの無茶振りさえなければ、一瞬で恋に落ちてた
「部長も、あまり遅くならないでくださいね」って
笑顔で離れようとしたのに「真咲」と呼ばれて
顔を上げたら手を引かれて
そのまま胸に顔を埋める事になった
え………思考回路、停止
今、私、部長の腕の中……だよね?
緊張が一気に襲ってきて固まっちゃってるよダサ…
「勘違いしてたらごめん……嫌なら突き飛ばして?二度としないって誓うから」
凄い……部長の、心臓の音?バクバクしてる
伝染っちゃうよぉ……
