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夜這い

第9章 妹来襲

妹は、ふすまを開けると、

「お兄ちゃん、入っていい?」

と言った。僕はおそらく青ざめた顔だったであろう顔を妹には向けず、

「うん!」

と言った。その後恐る恐る妹を見ると、妹は風呂上がりで、ピンクのパジャマを着てはいるが、髪はしっかり整えていつも見る風呂上がりの様子とは違って見える。服装はパジャマで寝る態勢だが、顔は外出するときのようだ。

妹は、静かに部屋の中に入ると、ふすまを閉めてそのまま入口で正座をした。

最近妹が僕の部屋に入ることはほとんどなかったと思う。テレビゲームはいつも居間でしているからだ。

以前は、僕の部屋にテレビゲームがあって、妹がゲームをしたいときには勝手に部屋に入ってやっていたが、僕が高校に入ってから、部屋にテレビゲームがあると勉強できないという両親の方針で、今は居間にしかテレビゲームを置いていないのだ。

なので、妹もどこに座ったらいいか分からずに入口に座ったんだと思う。

妹が部屋に入り、ふすまを閉められると、僕は、猛獣の檻に入って追い詰められたような、逃げ場のない状態に置かれた気持ちになった。

僕は、ライオンの檻に入った草食動物のようなおどおどした態度で妹を見ていたと思う。それが、妹に伝わっているかはわからないが、できれば伝わっていないことを願う。

妹は正座をしたままで、

「お兄ちゃん!」

と、僕に声をかけたあと手を前に差し出すと、無表情のまま手を開き、

「お兄ちゃん、忘れ物!」

妹は、静かで事務的な口調で言いながら、持っていた物を畳の上に置いた。僕の小さなオモチャのライトである。

僕は、「あ〜、明日まで待つまでもなく、このときが来てしまった!」と思った。

僕は、

「あ、ありがとう!」

と言った。これしか言えなかった。

妹は、椅子に座っている僕を上目遣いに見上げながら、

「これ、どこにあったと思う?」

と静かに言った。少し間をおいて、僕が返事をしないので、

「私の部屋の畳の上に、ライトがついたまま転がっていたの!」

と言い、そしてまた少し間を開けてから、

「何で私の部屋にあったのかな?」

と言った。

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