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Memory of Night 番外編

第5章 美少女メイドを捕まえろ!


 今さらも何も、メイド服に関してはずっと拒み続けていたはずだ。


「『コスプレ鬼ごっこ』なのにコスプレ抜きっておかしいでしょ、普通に」

「知らねーよ」


 それを言うなら、男にメイド服を着せて走らせる方がよっぽど変だと宵は思う。


「でも……」


 言いかけて、明ははっとしたように口をつぐんだ。


「こんなとこであんたと無駄話してる暇ないんだってば! 明日の焼きそばの材料切らなきゃ。そんなわけだからルールもう一回ちゃんと確認しといてね。あと、明日はばっちりメイクもしたいし、そうだなぁ……七時に昨日使った空き教室集合で!」

「早っ!」

「屋台の準備もあるんだからしょうがないでしょう? つべこべ言わない! よろしくねー!」


 早口にそれだけ言い残し、慌ただしく校舎の中へと走っていく。

 呆然と見送る宵の肩に、ふいにぽん、と誰かの手が乗った。

 振り向くと、そこにいたのは大山和仁だ。


「ドンマイ」

「……うっせー」


 大山はにやにやと、人の悪い笑みを浮かべている。


「明日はよろしくなー」

「な、ん、でおまえまで参加してんだよ」

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