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Memory of Night 番外編

第5章 美少女メイドを捕まえろ!


 先ほどちらりと参加者たちの数を数えた時、大山の名前は見つけていた。

 確か午前の部だ。

 他にも数人知っている名前を見つけ、しかも参加者の大半は男だった気がして嫌になってしまう。


「そりゃ、温泉旅行目当てに決まってるじゃないか。宵を捕まえた景品で、彼女と旅行行くんだ」


 嬉々としてノロケ話をし始める大山に、宵はもう勝手にしてくれという気分になる。

 だが、そんな二人のところへ唐突に、クラスメイトである女生徒が近付いてきた。

 宵と大山が振り返ると、女生徒は手に持っていたスポーツドリンクを宵に向かっておずおずと差し出してきた。


「良かったら、これ……。明日頑張ってね」

「……ありがと。つかジュースはいいよ、いらな……」


 差し入れらしきそれをやんわり断ろうとしたが、そうする前に側に別の子からタオルを差し出される。


「頑張ってねー!」

「応援してますー!」

「だから……ものはいらねーって!」


 便乗して集まってくる子たちは、様々なものを差し出してくる。

 宵は頭を抱えたくなった。


「……モテモテだなー宵」


 隣で苦笑する大山の助け舟で結局そこから抜け出せたのは、それからしばらく経ってからだ。

 モテモテというよりは、単に面白がられているだけな気がして、宵にはなんだか腑に落ちないのだった。

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