テキストサイズ

Memory of Night 番外編

第5章 美少女メイドを捕まえろ!


 中は灯りがついていないため、昼間なのに薄暗かった。外と同様手入れがほとんどされていないせいか、どことなく埃っぽい。踏む場所によって床がきしみ、みしみしと音を立てる。

 その音はやけに大きく響く気がした。

 けれど校舎内の構造は普段使っている校舎とほぼ同じだった。

 大山は宵を見かけた教室に一番近い階段を探り、なるべく音を立てないよう意識しながら、そこを上り始める。

 見かけた階は三階。万が一鉢合わせしても捕まえられるよう、ポケットにしまっておいた手錠を握りしめ、慎重に階段を上っていく。

 二階と三階の間の踊り場で一度足を止めた。人が歩いているような気配はない。

 さらにゆっくり、慎重に、大山は古びて塗装の剥がれ落ちた階段を上がった。

 教室にはどこも、プレートがない。クラスとして使われていた場所なのか特別教室として使われていた教室なのかは今となってはわからないが、ただ空き教室がずらりと並んでいるだけの光景は、なんだか違和感があった。

 大山は、外から見た教室が端から何番目の場所かを思い出し、宵を見かけたのがどの教室なのかを探った。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ