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Memory of Night 番外編

第5章 美少女メイドを捕まえろ!


 肩につくかつかないか、微妙な長さの栗色の髪を揺らし、いろいろな屋台を物色している。

 制服は着ていないが、高校生くらいだろうか。

 買うものに迷っているのならと、大山はにっこり笑って声をかけた。


「いらっしゃいませー! 焼きそばいかがですか? 一つ二○○円ですよー」

「美味しそうね」


 その女性も柔らかく微笑んで、大山のもとへと近付いてきた。

 メニューを貼り付けテントの前に貼っていた、飾り用の紙に視線を向けた女性の表情が、ふいに変わった。


「二年……一組?」

「……ああ、ええ、そうですけど」


 ふいにクラスをつぶやかれ、大山は首をかしげる。それがどうしたというのか。

 不思議に思っていると、女性はさらに意外な質問をしてくる。


「ねえ、大河宵って子、このクラスにいる?」

「……へ?」

「確か、一組だったと思うんだけどな」

「あー、いますよ。ここにはいませんけど」


 そう告げた途端、女性の顔がぱーっと華やかになる。

 嬉しげに、にっこりと微笑み、「どこにいるのー?」とたたみかけてきた。


「どこにいるかは、ちょっと……」

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