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Memory of Night 番外編

第5章 美少女メイドを捕まえろ!


 コスプレ鬼ごっこで潜伏しているため、宵の居場所はクラスの誰も知らないだろう。人通りの多いこういう場所にも多分現れない。

 というより、そもそもこの女性は何者なのだろうか。


「あの、よかったら言付け預かりましょうか? 伝えるの、文化祭終わる頃になっちゃうかもしれませんが、何か用があるなら」


 疑問に思いながらも、親切心のつもりで大山はそう申し出た。

 だが、女性は首を横に振る。


「用っていうか……会いたかっただけだから」

「え……」


 会いたかっただけ? 宵に?

 なんだこの変なフラグが立ちそうなセリフはと、大山が固まる。

 テントの後ろで雑務をしていた他の女子たちも、思わず女性を振り向いた。


「あ、焼きそば二つお願いします」

「は、はい、まいどー。四○○円です」


 大山が焼きそばの入った袋を渡し、それを受け取った女性が五○○円玉を渡す。

 そうして女性はお釣りを受け取ると、軽い会釈と共に笑顔で背を向けた。

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