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第15章 俺はきみほど愛していない


「まーでも、何だかんだユーリちゃんに言われて俺は殺せないもんねえ。いいと思うよ、俺なんて殺しても何の得にもならないから」

「……得ならある」


 それまでまともに成立していなかった会話の成功に、文芽は「おっと?」と興味深げな顔をした。

 それとは対照的に淡白な表情を浮かべている千尋は、ひどく低い声音で呟くように言った。


「手前が消えればユウに近づく下衆が一人減る。理由はそれだけで十分だ」

「……ック」


 あまりにシンプルかつ偏執的な回答に、文芽は喉を鳴らして笑った。

 ――いや、ヒロくんは四年前からこんな感じだけどさ。

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