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たからもの

第16章 帝王切開

すぐに旦那が来た


病室に入ると
眠くて仕方ないはずなのに

私の手をにぎり



「大変だったね
 優ちゃんは大丈夫だよ」

と励ましてくれた





当直の先生に処置室へ呼ばれた


何度も行った処置室
陣痛室からは数メートルの距離


ただ周りが暗いせいか
それとも不安のせいか
いつもと雰囲気が違う廊下に
不気味さを感じながら向かった

少し遠く感じた






ようやく着いた処置室

いつものように内診






「あれ?」


なに?!( ;∀;)


「破水した?」







………え?



「うん、破水してるね……」



もともと少ない羊水
破水したせいで
ほとんど残っておらず
苦しいサインとして徐脈が出たらしい


破水って……


子宮口を広げる処置のせいで
出血してたから
水がでてたなんて気づかなかった



苦しいよね、優ちゃん






エコーをとると
「胎児は元気そうだねー」

笑顔をみせる先生


私に見えるように
エコー画面を傾け


「ここ心臓ね
 ちゃんと元気に動いてるよ
 大丈夫」


ひとまず安心した






「でも羊水がほとんど無い状況だから
 朝の内診で
 帝王切開の話がでると思うから
 そのつもりで心構えしてね」


もう

優ちゃんが無事なら
それでいい


元気なら
それでいい




もちろん

手術を受けるのは怖い





でも
優ちゃんの命にはかえられない

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