テキストサイズ

狼と白頭巾ちゃん

第2章 優しい声

「……………」

「……………」


沈黙を破ったのはシンだった。

「どうしたの、お嬢さん?僕は名乗ったよ。君の名前を僕に教えてはくれないのかい?」

シンと名乗る男の声は、やはり優しそうに、そして、少し悲しげにライラに届いた。

その悲しげな声に少し胸がチクリとして、ライラは思い切って、母親からの言葉を告げた。

「あのっ、お母さんから、し、知らないヒトと話しては、いけないって…、い、言われて、いるの……。だから……、っごめんなさいっ!」

そして、声の聞こえる方に勢い良く頭を下げた。

(どうしよう…。怒らせなかったかな…)

ライラは言った後に不安になり、おどおどと伺うように頭を上げた。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ