テキストサイズ

狼と白頭巾ちゃん

第7章 誘う声

鬱蒼とした森の中を、ライラはひとり、草を掻き分けながら進んでいた。

自分の背丈の胸までもある草の中を歩くのは、少女には大変な作業だったが、しかし、ライラの表情は明るかった。

時々辺りを見回しては…、

「シン〜、どこ〜?」

と、声を上げた。

すると、草むらの中から、

「コッチだよー、ライラ。気をつけておいでー」

と、シンが声を掛ける。


そう、彼女は実は、ひとりではなかった。

姿は依然隠したまま、シンが度々声を掛け、ライラを森の奥へと誘導していたのだ。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ