テキストサイズ

狼と白頭巾ちゃん

第7章 誘う声

ライラの必死な様子を、シンは実は、木の上からニヤニヤしながら眺め、楽しんでいたのだ。

しかし声だけは、まるで考え込んでいるように発していた。

そして…、

「シンさん!」

少女が苛立ちながら自分に声を掛けるのを、待ってましたとばかりに、

「実はひとつ、問題があるんだけど…」

と、ようやく口を開いたのだった。



「問題…?」

上を見ながら首を傾げる少女の様子を見て、シンはまた声を掛けた。

「その前に、君、そろそろ首が疲れたんじゃ無い?俺、木から降りるから、少し後ろを向いてくれないかい?」

ストーリーメニュー

TOPTOPへ