【可愛い】の魔法
第1章 三年目・miyu
こんな時に、ちゃんと名前を呼ぶとか・・・ずるい・・・
恥ずかしさで、腰に回した両手をグッと寄せて、秋の胸に顔をうずめた。
秋の心臓がうるさい程音を立てていて、秋のホントの気持ちなんだって分かった。
暫く鼓動を聞いてたら、秋がやんわりとあたしを引き剥がして、「聞くな」って笑いながら耳を両手で塞ぐ。
あたしも秋と同じように笑いながら、秋の手に手を重ねる。
ゆっくりと秋の顔が近づいてきて、あたしが目を閉じると、柔らかい唇があたしのそれに重なった。
啄むようなキスを繰り返したあと、秋が意地悪な顔をして言った。
「今夜は、覚悟しろよ?」
「えっ?」
「俺の事撒いた、お仕置きだから」
引きつった笑みを浮かべたあたしを見て、秋が楽しそうに笑った。
* Fin *