【可愛い】の魔法
第1章 三年目・miyu
それでも3年、同じ男と過ごしてきたんだから、いい加減不満もでてくるよっ!!
一足先に社会人デビューした秋は、どうやらモテモテらしい。
もちろん本人は『お誘いは丁重にお断りしてますから』なんて、上から目線で言うけど、満更でもない感じがイヤ。
あたしの扱いが少し雑になったのもイヤ。
社会人として働く秋が、ちょっとカッコよくなったのも・・・複雑だけどイヤ。
あたしの大好きな秋が、あたしの知ってる秋じゃなくなって行っちゃうのがイヤ・・・・・・
秋を撒いて、自宅アパートまで帰ってきた。
忙しなく鍵を開けて、乱暴にドアを閉めたら、我慢してた涙が止め処なく流れてきた。
「ぅぅぅう~・・・ひぃっく・・・」
靴を脱ぐまで保たなかった涙腺と感情が、あたしを『まだまだ子供だ』と自覚させるようで、また、惨めになって泣いた。