
パプリカより甘いカレ。
第1章 気付いたの。
〇葉崎side〇
「はい、眼鏡」
そう、素っ気なくいってみたものの、多分私の顔は真っ赤だったと思う。
だって、私と先生との距離は15センチの定規くらいだから。
「いやー、俺段々目が悪いなあ」
そう言うと、先生は私と距離を広げた。
「そうですね…」
ショックだった。確かに、私は可愛くない。いたって普通な地味な顔。別に二重でもなかった。
「じゃあ眼科行ってくるわ、じゃあな」
「あ…っ」
バタン。
先生は本当に眼科に行ったのかは知らないけど、出て行ってしまった。
書道教室は、一人ポツンと、私だけ。
さっきまで楽しかったのに。
さっきまで笑えてたのに。
さっきまでドキドキしてたのに。
そんな感情が生まれるのは、先生といるときだけ。
考えていると、涙で私の顔はぐしゃぐしゃになっていた。
先生は、私と距離が近かったのが嫌だったの?
私は嬉しかったよ。
だから気付いてしまった。
先生が好きだってことに。
