空と海
第1章 第一章
暗い部屋。
埃っぽい床に散らばった無数のビン。
「いや…やだああああっ!!」
部屋中に泣き叫ぶ声が響き渡る。
「うるせえっ」
怒鳴り声と共にパンッと音がして、あたしの左ほほに激痛が走る。
「すぐ済むから、大人しくしてろよ」
あたしの上に、馬乗りになった男が、耳元で呟く。
それを取り囲む、数人の男たち。
体を動かそうとしても、硬直して、動かせない。
さっき殴られた頬が、ヒリヒリと痛む。
「大人しくしとけば、乱暴はしねぇからよ」
ククッと笑いながら、目の前の男はあたしの首もとに手をやる。
ツツ…と冷たいものがあたしの首を撫で、
それが人の手ではなく、機械的な冷たさだと理解して、口から自然と
「ひっ」と短い悲鳴が漏れた。