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たまゆらの棘

第2章 燃ゆる日々

倫は服を着た。鞄に荷物を入れていると「ちょっと本気なの?」「女性に遊ばれるの嫌いなんです。俺。」言いながら何故か母親の顔がよぎった。「むかつくんです」淡々と倫が身支度を進めていると、突然ドアに真っ裸の女がたちふさがった。「行かないでよ、ねえ!」倫は冷たくフッと鼻で笑うと言った。「ご自分の格好…見てごらん…そこをどけっ!」強く言われ、瑠璃は倫が怖くなり、素直にどいた。部屋のドアが閉まった瞬間、わあーーッという号泣が聞こえた。(俺は悪魔だからね。)倫は二丁目の路地に舞い戻った。

売春とバーの稼ぎで、なんとかウィークリーマンション暮らしが出来た。あれから瑠璃は店にも来なくなった。ママにはそれとなく事情を話した。「そんな事になると思ったわ。手当たり次第にうちの客に手をつけていたから…でも倫ちゃんのお陰で来なくなってよかったわ」ママは気さくに微笑んだ。

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