テキストサイズ

たまゆらの棘

第3章 螺旋

倫は中学しか出ていないが、たどたどしい英語でも、十分にコミュニケーションはとれた。
「眠れたか?」サムは聞いてきた。倫は朝食を作ると言ってダイニングに行った。「バージンは守れた?」女のひとりが笑って倫の尻を撫でた。倫はぞっとして思わずその手を叩きのけた。「オウ…ソーリー…」女は「本当に駄目なのね。ごめんなさい。」と真面目な顔で言ってダイニングを出て行った。

「倫!旨い!」サムは倫の朝食のうまさに感動して言った。
「こんな旨いオムレツは初めてだ!」サムは興奮して言った。こんな所で藤原に教わった事が役に立つとは…倫の心は苦笑いした。「これから毎日、作るよ。」倫はサムに言った。

こうして昼間はカムデンロック・マーケットで蝋燭商に倫はなった。変態らしい客がきたら奥の品物を売りつけろとサムには言われた。奥の部屋を案内すると皆、倫を買うと言い出すのを断るのがいちいち面倒だった。いくらなら…と値段の交渉までしてくるのでその都度、倫は困った。サムに言うと「社長の持ち物だからそれは出来ないと言え。」と言われた。倫はその通りにした。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ